竹の花と竹にまつわる話
松、梅とともに竹はめでたい植物のひとつなのですが、花が咲くと不吉とは…不思議に思えますね。
なぜ、そのような説が生まれたのでしょうか?
噂の原因は竹の一生にあり!?
種類によって生態は異なりますが、竹の一生についてみていきます。
竹藪の竹はそれぞれが根で繋がっており、長い年月をかけて根を伸ばしながら繁殖します。そして、一定の時期がくると開花します。
竹の花が咲いて次に花が咲くまでの開花周期は、孟宗竹は約60年、真竹は約120年と非常に長いことから、竹の花は珍しいものとされてきました。
滅多に見ることができない竹の花。
どんな花なのか気になりますよね!
実は竹はイネ科に属する植物なので、花もイネの花によく似ています。
■竹の花画像 参照:#竹の花 Twitter
そして、ここからが「竹に花が咲くと不吉」とされてきた原因!?です。
真竹は一斉開花率が高く、竹藪一体が開花します。
孟宗竹は一部の竹だけが開花する場合もありますが、孟宗竹に関しては開花後にレモンのような果実を実らせます。
そして、周期がおとずれて開花すると、なんと1、2年の内に竹藪一体の竹が枯れてしまうのです…
珍しく花が咲いたと思ったら、一斉に竹が枯れてしまえば「竹を枯らした原因は花が咲いたから」となりますよね。
これは「不吉」と感じずにはいられないでしょう。
日本の生活文化と共にあった竹
成熟した竹は家屋や家具の建材や、カゴなどの生活道具の材料として使われてきました。
ザルや蒸籠、巻すだれ、鬼おろしなど和食や中華の調理器具には竹製のものが多いです。
尺八をはじめ和楽器にも竹は多く使われていますよね。
竹を炭化させた竹炭は、消臭・防臭、デトックス効果があり、消臭材やインテリアとしても使われています。
春の味覚「筍」は筍を使った郷土料理が各地にあり、春に欠かせない食材です。
からっ風から家屋を守るために、敷地の周辺に防風林として竹林を栽培している家を多く見かけることができます。
※ちなみに敷地内にある防風林は「屋敷林」「屋敷森」と呼ばれています。
このように、現在でも竹はさまざまな形で使用されています。
竹の花は本当に不吉の前兆なのか?
手先の器用な日本人は竹職人も多く、その中でも高度な技術を体得しているほんの数名の方が人間国宝として認定されるほど、竹工芸は日本が誇る文化財です。
■参照:竹工芸の人間国宝(重要無形文化財保持者)|タケノオト
昔は各家庭でザルやカゴを編んだり、家の補修や建築に使う大切な植物でしたので、竹の手入れもまめにしていました。
そこで話は前に戻りますが、「竹の花は不吉」と言われるようになったのは、生活に欠かせない大切な竹が一斉に枯れてしまうのを目の当たりしたら、不吉の前兆と感じるのも致し方ないですよね。
しかし、開花後に一斉に枯れてしまう現象は、竹が枯死したのではないのです。
枯れるのは地上の部分のみで、根は枯れていません。
その根からまた、新たな竹が育ち数年後には元のような立派な竹林になります。
長い周期をかけて繁殖し育った竹が、根に十分に養分を溜めて、最後に一花咲かせ枯れていく。
そして、まっさらに生まれ変わる。
そのサイクルは自らをより成長させるために必要な生態の維持であるのです。
なので、竹の花は不吉の前兆ではなく、むしろ一新するための吉兆であるのではないでしょうか。
それと大切なことは、次なる成長と竹林の維持には人による手入れが必要です。
竹は光合成をし根に栄養を蓄える為に、光を求めて丈は高く成長し、根を伸ばして繁殖していきます。
そのためには、光を多く取り入れられるように伐採や落葉掻きなど手入れをしないと、病気が発生し良い竹林にならないからです。
まとめ
落語ならではの笑いと洒落をお楽しみください。
♠参照:STYLE RADIO and STORYさま投稿より
【落語】桂歌丸「竹の水仙」
【落語】桂歌丸「竹の水仙」
日本が世界に誇る竹工芸の為にも、また私たちの生活文化の為にも、竹とともに人の暮らしがあることを忘れてはいけませんね。