四字熟語に秘められた意外な真実


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『四字熟語』と言えば漢字4文字で構成される熟語ですが、四字熟語を使うシチュエーションや目にする機会はどのような時でしょう?
例えば、座右の銘。大相撲の横綱の口上。応援幕や団旗。挨拶やスピーチ。などではないでしょうか?
『四字熟語』を使うことで、信念・決意・団結・教訓が周囲により強くに伝わるように感じられます。

では、なぜに『四字熟語』を使うことで、心情や状態を強く伝えることができるのでしょうか?
たった漢字4文字に秘められた意外な真実が、『四字熟語』にはあるのかもしれません。

四字熟語とは


四字熟語とは
『四字熟語』の定義には、漢字4字で構成される、固有名詞以外の熟語とするものや、慣用句的に意味を持つものなど、様々な定義があり一概にこれと断定することができないようです。
そこで『四字熟語』のいくつかの概要を紹介します。

故事成語

おもに中国の大昔にあった出来事や事柄を「故事」といい、その「故事」が元になったことわざ的な熟語が「故事成語(こじせいご)」です。
「故事成語」は、古くから伝わる物事の由来、たとえ、観念、戒めなどを、慣用句をもちいて表現しています。
中国の古くからの出来事だけでなく、孔子とその弟子たちの格言である「論語」も含まれています。

<故事成語の四字熟語>
四面楚歌(しめんそか):周囲をすべて敵に囲まれて、味方が一人もおらず孤独している様。
《楚国の項羽が垓下(がいか)に追い詰められ、漢の劉邦の軍に包囲されたとき、夜更けに四方を囲む漢軍が楚の国の歌を歌うのを聞き、楚の兵たちが漢に降伏したものと思い込み嘆いたという故事に基づく。》

一日千秋(いちじつせんしゅう):一日が千年に感じられるほどに、非常に待ち遠しい意味。
《人や物事を待ち焦がれる気持ちの切なる様を表したようす。》

切磋琢磨(せっさたくま):学問・技芸・徳行などを鍛錬する意。また、志を同じくする仲間同士が励まし合い、競い合って向上する事のたとえ。
《「切磋」は骨や象牙を切り磨くことで、「琢磨」は、玉や石を打ち砕くことや磨くことを表し、「切するが如く磋するが如く、琢するが如く磨するが如く」とあるのに基づく。》

♠参照:逆引き分類一覧|故事ことわざ辞典より
♠参照:《論語》に由来する四字熟語一覧|四字熟語データバンクより

仏典の四字熟語

仏教用語は中国において漢字に当てはめられ、それらの漢字化された仏教用語が日本にも伝わりました。
仏教における教えや道徳を説いた四字熟語になります。

<仏典の四字熟語>
生生流転(せいせいるてん):万物が永遠に生死の間を巡ること。全てのものは絶えず変化し移り変わってゆくこと。
《「生生」ものが次々と生まれゆくさま。「流転」物事が止まることなく移り変わっていくこと。生死因果の理が常に極まりないこと。仏教の死生観から出た言葉。》

大慈大悲(だいじだいひ):多く極まりのない慈悲。「大慈」仏が衆生を救う大きな慈しみ、「大悲」その慈悲の心のこと。
《仏教語で、とくに観世音菩薩の慈悲をさす。》

♠参照:「仏教・仏語」の四字熟語一覧|座右の銘にしたい四字熟語より

その他の四字熟語

故事や仏典に由来しない4つの漢字から成り立つ熟語で、昔から伝わる教訓や知識にかかわることわざや、慣用句的に用いられます。
固有名詞は、四字熟語に含まれません。
また、「高速道路」「経済政策」「介護保険」など熟語の構成成分を見ただけで、その意味を把握することができる用語は、慣用句という意味での四字熟語からは外される場合があります。

<その他の四字熟語>
風林火山(ふうりんかざん):戦いにおける四つの心構えを述べた語。「風」のように素早く動き、「林」のように静かに構え、「火」のように激しい勢いで戦略し、「山」のようにどっしりと構えて動かないこと。
《「其の疾きこと風の如く、其の徐ずかなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如し」の略。戦国時代の武将、武田信玄が旗に大書し、旗印に用いて士気を高めていた。》

以心伝心(いしんでんしん):文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合うこと。
《言葉や文字で表せられない仏法の神髄を、師から弟子の心に伝えることの意。》

創作四字熟語

時代や世相を言い当てる新たな四字熟語が、1980年代後半以降一般の人達によって創作されています。
基本的に既存の四字熟語の漢字や読みを生かす形で、一部の漢字や読み方を変えて、新たな四字熟語がつくられています。

<住友生命 創作四字熟語 2016年の世相を反映した50編より>
銀勇四人(ぎんゆうしじん):吟遊詩人をもじった語。オリンピックのあった2016年、陸上男子の400mリレーの銀メダルを称えた語。

新都多難(しんとたなん):前途多難をもじった語。小池都政が東京五輪や豊洲移転問題で前途多難な様子を表した語。

GO夢中(ゴーむちゅう):五里霧中をもじった語。「ポケモンGO」が大ブームになり、人々が夢中になった様子の語。

♠参照:住友生命 創作四字熟語 2016年の世相を反映した50編より


♠参照:四字熟語|ウィキペディアより

四字熟語の真実


四字熟語の真実
『四字熟語』は、慣用句で成り立っているものが多くあることがわかります。
慣用句とは、独立した単語の複合により異なった意味を持つもので、日常の行動や物事の状態などを、面白おかしく表現したものなので、一種の"比喩表現"であります。
なので『四字熟語』は、風刺や揶揄によって、人の本質や世の中の現状を的確に表した用語なのです。

また、故事や仏典に由来する『四字熟語』は、漢字4文字の中に故事や仏典のいわれがあり、その熟語の意味だけではなく、多くの情報量が含まれています。
それにより、『四字熟語』はたった漢字4文字の熟語でありながら、その言葉に含まれる事柄や意味により感情表現が豊かになり、シンプルな言葉で相手との意思疎通がはかれるのです。
『四字熟語』は、いわば縮約された人間学や倫理学と、いえるのではないでしょうか?

四字熟語に秘められた意外な真実 まとめ


四字熟語に秘められた意外な真実 まとめ 相撲の口上のように、「堅忍不抜(けんにんふばつ)」、「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」、「全身全霊(ぜんしんぜんれい)」など、『四字熟語』を使い、物事に取り組む姿勢と決意を誓うことがあります。
また、自分が置かれている心境を表す時や、人を正す時、世の中の現実を比喩する時などは、『四字熟語』がその在りようを、代弁して表現してくれます。
それは、「人とは何か」という問いかけや、「関与する物事によって、人の心や世の中がどのように働くか」を、遥か昔から学んできた教訓により、後世に『四字熟語』として伝えられてきました。
私たち人間や世の常は、時代は変わっても道理はいつになっても変わらないということです。
なので、『四字熟語』を使うことで、信念・決意・団結・教訓が周囲により強くに伝わるのは、大昔からの教えが哲学的要素として、『四字熟語』に秘められているからなのだと思います。

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